グミ・チョコレート・パイン,佐佐木勝彦&清水沢亮,大槻ケンヂ,千の王国 百の城,清原なつの
vol.47 トランジスタの日号
2001年6月30日
ガルラボ“カリスマ(笑)”研究員のかなりオススメ!
愛の週刊コミックレビュー、みなさん毎週お会いしませう。
ガルラボ研究所長
双子座 B型
どこにいっても偉そうと言われるのは心外な本人。愛と肉欲に生きれりゃ本望。
hitomi@MZ のマイページ(日記付)
『グミ・チョコレート・パイン』(1)
pict ●画・佐佐木勝彦&清水沢亮 作・大槻ケンヂ
●講談社
●524円(税抜)
●発売中
(C)佐佐木勝彦&清水沢亮/講談社
青春が来た、肥大していく自意識と戦え!
大槻ケンヂさんの自伝的大河小説である超名シリーズがついにコミックに! 「周りのヤツらはくだらない… オレには人とは違ったなにかがある…」と俗的なものに嫌悪感を抱きながら根拠のない優越感に浸りつつも、クラス・ヒエラルキーでは誰にも相手にされない最下層に属し、「こんなんでどーするんだろう?」と鬱になっては自己嫌悪にかられ、最終的には自慰行為に耽る… そんな輝ける青春の日々がいま、鮮やかに蘇ります。
基本的にストーリーは原作の流れに忠実。けれども、主人公のダメ男子がダメ男子のままにヴィジュアル化されている様は、まるでまったく新しい作品を読んでいるかのように新鮮です。また、まるで『ジェネレーションX』みたいに、あらゆる固有名詞への注釈が散りばめられている点でも、原作をさらに突き進めた作品となっていると云えるでしょう。
『さくらの唄』(安達哲)よりもだいぶ脳天気で、『東京ガールズブラボー』(岡崎京子)ようにはアカ抜けていない、ある自意識過剰な17歳高校生男子の1985年の青春。繊細に切り取られたその焦燥と高揚とバカさ加減は、その時代に若かったひとにはもちろん、それ以外のひとにだってきっとストライクします。第1巻にして十分に満足できてしまうほどのまとまりを見せたこの1冊、どうぞ胸を痛めてお読みくださいませ。
ガルラボ研究所助手
射手座 O型
●清原なつの
●早川書房
●800円(税抜)
●発売中
(C)清原なつの/早川書房
SFって、シュールでスウィートなフィクション&ファンタジー!
’81年に「りぼんオリジナル」にて掲載された“真珠とりシリーズ”をはじめとして、清原先生のSFもの厳選9篇を収録。なにしろほとんど手に入りにくい作品ばかりですから、ハヤカワでマンガ文庫とは意外だけれど、ああ大感謝なのです!
正直、SFって小難しいイメージがして、どちらかというと苦手だって思いませんか? 科学や宇宙なんて、遠くて冷たいなにか、男の子だけのおもちゃのように思っていたり… だけど例えば、婚約者とそっくりのアンドロイドを作っちゃう男がどんなにバカかなんて、私たちにだってよくわかる! 舞台は未来でも広い宇宙でも、たとえ恋人が人間じゃなくとも、結局のところすべては心と心のつながり以上のものはないんだなって、不思議と暖かい気持ちが湧き上がってくる感動作ばかりだよ。
『花図鑑』(集英社)で、エッチとは違う正しい(!)性教育を施してくれた先生だけれど、「科学の進歩は未来を素晴らしいものにするというSFが好きです」というお言葉で、私たちにまたひとつ素晴らしい世界を教えてくれましたね。