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『夢の温度』 南Q太『いばら姫のおやつ』石田敦子

~愛の独断と偏見レビュー~

vol.28 漫画の日号
2001年2月9日

ガルラボ“カリスマ(笑)”研究員のかなりオススメ!
愛の週刊コミックレビュー、みなさん毎週お会いしませう。

ガルラボ研究所長
双子座 B型

どこにいっても偉そうと言われるのは心外な本人。愛と肉欲に生きれりゃ本望。

hitomi@MZ のマイページ(日記付)

『夢の温度』 (1)  

pict ●南Q太
●宝島社
●857円(税抜)
●発売中
(c)南Q太/宝島社
中学生の恋でも恋はいつだって恋
 主人公・はるは、中学2年生の女の子。わりとカワイイ女の子。同級生に告白されてもなんとも思わない冷めた女の子。誰に読ませるでもない物語をノートに綴る女の子。そして、かっこよくて有名な高校生のお兄ちゃんが大好きな女の子… そんなはるのお兄ちゃんへの明確な恋心と、はるへ思いを寄せる岩倉くんの老成的達観と、お兄ちゃんの危うい純愛が、テクテクと進む中学生の日常の中に緩やかに交錯!
 なんてことないように思えてしまう絵柄が本当は最大の魅力のQ太先生。淡々とした登場人物達の表情描写が、作品にえもいわれぬリリシズムを紡ぎだしている傑作です。
 求めることの切なさと求められることの心地よさ、恋愛というものはいつだってそのどちらかを選ばなきゃいけないような窮地にわたしたちを追い込んでいく。愛し愛され上手い具合にいくことなんて、そもそも望むこと自体が罪なのかしら? 

ガルラボ研究所助手
射手座 O型

生のゴールデンタイムは日曜の朝。コスプレとして高い服やコスメを買う女。

tomo@MZ のマイページ(日記付)

『いばら姫のおやつ』全1巻
●石田敦子

●少年画報社
●524円(税抜)
●発売中
(c)石田敦子/少年画報社

自分自身しか抱きしめられない人に──
 小さくて胸もなくって、まるで小学生のような体型をしているくせ「誰とでも寝る女」として周囲を騒がせている高校1年生・知花。いつも誰かに守られてお姫様のように扱われている、そんな知花が抱えていたのは他人には決して分からない痛みで… 彼女の身体の未熟さが、まるで私たちの心の未熟さに訴えかけるかのように切ないこの表題作のほか、記念すべきデビュー作も収録されているこの1冊。どれも先生の「ほんとうに好きな人とだけにしろよー」という気持ちがひしひしと伝わってくる傑作ばかりだよ。重ねたつもりの恋愛経験でも、心から「抱きしめたい」と思う男の子と出逢えていなかったら、それは恋を知らないことよりも不幸なのですね。
 ちなみに、石田先生は「月刊エースネクスト」に連載された『からくり変化あかりミックス!』(角川書店)も好評。マンガ家歴としてはまだほんの3年なのですが、実は数多くの有名作品の作画監督やキャラクターデザインを手がけ、アニメファンの間で知らない人はないというビッグネームなんですよ。